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執筆者の写真Hiroaki Sugise

第二の人生が始まるきっかけ《後編》

 前回は職業訓練学校での学びを通して、今までの生かされていた人生から生きる人生に変わった話をしました。

今回は学校卒業と再就職について書くことにしましょう。


課題制作とひたすらセンスを磨く日々に追われながらの日々は、あっという間に過ぎ去ろうとしていました。

6ヶ月の学校生活も残すところ1ヶ月になろうかとういうタイミングで、ゴールでもある再就職先を探すべく、ようやく重い腰を上げた私の目指す再就職先はもちろんデザイン関連の職種です。 しかし、実務経験が全くない自分を雇ってくれる就職先はそう簡単に見つかるはずもなく、連絡をしては断られることの繰り返しで面接にすらたどり着くことは一度もありませんでした。

デザイン事務所は数あれど、小規模の会社や個人事業が多く、実務経験がなく即戦力になり得ない人材に給与を払ってくれるところなど存在しないのです。


そんな時、同期の学生から「杉瀬くんはPhotoshop得意だし面接行ってみたら」という言葉とともに1枚の求職情報が書かれた紙を手渡されたのです。

それはフォトスタジオの求人情報で、そこには写真アルバムの編集作業者募集【経験者優遇】と書かれていました。 その募集内容を読んだ瞬間、自分が苦労して身につけたスキルを発揮しながら、やりがいを感じられる最良の仕事だと確信し、これ以外考えられない!と連絡する前から勝手に働く気満々だったのを今でも覚えています。


しかし、その為には高い高いハードルを超えなければいけません。

そう、まずは面接をしてもらうこと。

今までその場にすら立つことができず、全てが電話応募の時点で断られていたことを考えてしまうと、電話をかけることさえ緊張してしまいます。

何度も何度も深呼吸し、いざ勇気を出して電話をすると今まで幾度となく断られ続けてきた時の反応とは全く違い、未経験でも職業訓練学校でデザインやPhotoshopを学んでいるのであれば是非面接してみたい!との返事。


よっしゃー!!! それは暗黒中に差し込む一筋の光を見た瞬間だったのです。



いよいよ次は自分が一番得意とする面接。

もう、その場に立つことができれば、もう受かったも同然!


実際、営業マン時代に培った自分を売り込むスキルを遺憾なく発揮し未経験ながらも無事に浜松市にある小さな小さなフォトスタジオへの就職が決まったのでした。 後になって分かったのですが、偶然にも職業訓練学校を卒業した人材を以前採用したことがあり、その方の働きぶりが良かったから私を面接してくれたみたいです。

その人が今だに誰か分からないけど、先輩!最高だぜ!


その後、職業訓練学校を卒業した私は2006年10月より、一応『デザイナー』という何とも響きの良い肩書きの仕事に就くことになったのです。


そう、半年前まではデザインとは全く縁遠い人生を送ってきた私の第二の人生はこの小さなフォトスタジオから始まるのです。



ハローワークで職業訓練学校を紹介されなかったら今の自分はないかもしれません。 職業訓練学校で、厳しくも優しく愛に満ち溢れる恩師に出会い、教わることがなかったら今の自分はないことでしょう。

あの日、あのタイミングで同期の一人からたった1枚の紙を手渡されなかったら確実に今の自分はありません。


たった半年間の出来事ですが、私が私自身を語る上でとても大切な出逢いと貴重な経験をすることができた濃密な日々、そして時間だったのです。


残念ながら私が卒業した広告デザイン科は昨年なくなってしまいましたが、あの教室で過ごした日々を忘れることは絶対にないでしょう。

そして、卒業した後に恩師に呼ばれ、私が学んだことや卒業後にどのようにそれを活かしているかなどを在校生に対して講義させてもらったこと。

そこから更にステップアップし、非常勤講師として写真の授業を持たせてもらったことは良い経験です。



つづく


次回は、いよいよ私がフォトグラファーとして第一歩を踏み出すことになったエピソードについて書こうと思います。


GRAPHYS Sugise





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